雑用よ、ありがとう!

雑用よ、ありがとう!

世にいう成功者が、いかにして成功をおさめることができたか、そのストーリーを目にしたことがある人も少なくないでしょう。

そんな話を聞くと、成功者というくらいだから、絶対に人が思いつかないような奇抜な発想を持っていて、「運」も手伝って成功するに至ったんだろうな… 真似なんてできないや、と思いがちですが、意外や意外、成功者といえども特にずば抜けた能力を持っているわけでもなく、思ったより地道に歩んできたんだな、と思わされることがよくあります。

やっていることは、こう言っては失礼ですが、誰にでもできるようなことです。
その、誰にでもできるようなことを、ただ単純に、きっちりとやり遂げられるということを認められて、成功への道を歩み出した、という人が多いですよね。

これはよく聞く話ですが、帝国ホテルで長年、フランス料理の料理長を勤めていた村上信夫さんが、ホテルのレストランで働き始めた当初、任された仕事は皿洗いだったそうです。
来る日も来る日も、朝から晩まで食器を洗い続ける仕事です。これは、誰にでもできる単純な作業かもしれませんよね。
でもこの村上さんは、この皿洗いの仕事に一生懸命に取り組んだそうです。
そのうち、「村上の洗った食器は、誰が洗ったものよりもきれいに輝いている」「村上は、誰よりも早く皿洗いの仕事をこなす」と評判になったということです。
そのうち上司に認められ、実際の調理にかかわるような、さらにやりがいのある仕事を任されるようになり、とんとん拍子に出世していったということです。

もちろん、この話を聞くと、「誰にでもできる仕事」とはいえ、他人に差をつけるには、手先の器用さ、そして料理をこなす最低限のセンスがこの村上さんに備わってなかったといえばウソになると思います。

でも、人間には少なからず、こうした器用さとか、センスというのは、備わっていると私は信じています。

要は、それを最大限発揮できる条件を自分自身に課すことができた、という点で、村上さんが他者よりも一歩秀でていた、ということだと思うのです。

思いを込めて

じゃあ、それは一体何か。
それは、「この皿を使う人に気持ちよく使ってほしい」とか、「帝国ホテルで使われる皿は、もっともっと綺麗じゃなきゃダメだ」という気持ちやプライドを込めて作業をし続けた、ということに尽きるのではないでしょうか。

この「気持ちを込める」というのは、どんな華やかな仕事であれ、地味に見える雑用であれ、同じだと言い切れます。仕事のクォリティというのは、どんな仕事であれ問われるものですから。

特種な例をのぞいては、一般の人が何らかの職業に就いて、まずやらされる仕事は「雑用」ではないでしょうか。
雑用にもいろいろあります。皿洗い、書類の整理、お茶くみ、コピー取り、使い走りなどなど。

雑用を始めて、最初のうちは自然とこなせても、その時期が長くなってくると、つい「どうして私が、こんな仕事をしなくちゃいけないんだ」という不満が出始めることもあるでしょう。仕事そのものへのやる気をなくしてしまうかもしれません。

でも、先に述べた「気持ちやプライドを込める」ということは、そんな雑用のときにこそ発揮しやすいことだと、私は思っています。
さらに技能や頭を使わなきゃならない仕事になってくると、現実問題に振り回されながら、そんなゆとりはなくなってきますからね。

次のステップを狙うなら、それをどうやって得られるかを頭の中で画策するようなことはせずに、いま与えられている仕事に懸命に取り組むこと。「この程度でいいのか、いや、まだできる」と絶えず自問しながら行うくらいでちょうどいいと思います。

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