誰のための「真面目さ」か、誰のための「責任感」か

誰のための「真面目さ」か、誰のための「責任感」か

真面目さをなくしては、決して人は他人からの信頼を得て生きていくことなどできませんね。
テレビなどで、デタラメなことばかり言い、さも自由奔放に生きているかのように映る芸能人を見たことがあるかもしれませんが、そうした姿はテレビが演出のためにつくり出すその人物の一面であって、ほんとうは陰で真面目にコツコツと頑張っていることを知っておくべきです。
幼い頃から「真面目に生きる」ことの大切さを教え込まれて、私たちは生きてきたのではないでしょうか。

しかし、その真面目さも、度が過ぎてしまうと、自分自身にとって良からぬ事態を招くということも、頭に入れておいたほうが良さそうです。

古代ギリシャの歴史家だったヘロドトスが残した言葉です。

もし人が常に真面目であろうとし、決して自分に楽しみやくつろぎを少しも許さないとすれば、その人は頭がおかしくなるか、知らないうちに心が不安定になっていくだろう。

「真面目であることの、何がいけないのか」
そんな疑問すら聞こえてきそうな、このヘロドトスの言葉ですが、同時に思い当たることも少なからずあるはずです。

「無理をしない」

ちなみに、精神医学の分野においては、近年増加傾向にあるうつ病になりやすい人の特徴として、次のようなものが挙げられると言われています。
・生真面目である。
・責任感が強い。
・相手の気持ちに敏感である。
どれもこれも、学校の道徳の時間などでは繰り返し強調されそうな事柄ばかりだと思いますが、その度合いが強くなりすぎると、うつ病を引き起こすことになるというわけですよね。

「真面目」「責任感」「相手の気持ちに敏感」、このどれをとっても、誠意をもって生きていく上で多少なりとも必要な事柄ばかりですが、よく考えてみると、反面、それに執着しすぎると、いったい誰のための真面目さなのか、誰のための責任感なのか、誰のための敏感な気持ちなのかが分からなくなってきます。
「真面目にやらないと気が済まない」という「自分のため」なのか、「相手に嫌われたくない」という「自分のため」に相手の気持ちに敏感になっているだけなのか──。

このように考えると、真面目さも行き過ぎると「自分への執着」に変わるということですよね。
これが、自分自身を縛りつけ、握りしめることにより窒息寸前になってしまい、結果的に心の健康を損なうということです。

自分に執着しない程度に真面目に生きていくコツとしては、「無理をしない」ということでしょう。自分の責任をあまり強く意識せず、どこか「ゆるさ」を持ち合わせていたほうが良いですよね。
また、相手に気を遣いすぎることもありません。そもそも、いくら相手に敏感になろうとも、100パーセント相手の納得のいく対応などできるはずがないからです。もしそこで崩れるような人間関係なのだとしたら、もともとその程度のつながりであった、と割り切ることですね。

このようにして捻出できた心の余裕を、ヘロドトスの残した言葉のように、一日わずかの時間でも構わないので、楽しみやくつろぎにあてるほうが、長い人生の中で心の健康を保っていく何よりのコツになるとは思いませんか。

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