約束の期限を守る

皆さんは、「仕事ができる人」というと、どんな人をイメージしますか?
「他人にはないような奇抜な発想ができる人」
「仕事をやり遂げるスピードが群を抜いて速い人」
「どんな商品でも売ることができる人」
「あらゆる面で結果を出すことができる人」
このように、イメージというのはさまざまにあると思いますが、仕事ができるという観点で考えると、一番大切なことというのは、一体何なのでしょうか。
近江商人にまつわるエピソードです。
あるとき、とある商人が丁稚の少年とともに、反物と千両箱を積んだ荷車をひいて山道を歩いていると、山賊に出くわしました。
その商人は、千両箱が入った荷車を放り出して、反物だけをかついで、一緒にいた少年とともに一目散に逃げ出したそうです。
不思議に思った少年が、なぜそうしたのか理由を尋ねると、商人はこう答えました。
「お客様に反物を納める納期を約束した以上は、その納期を守らなくてはならない。だから、千両箱よりも反物を優先したのだ」
期限を守れなければ無意味に
ふつうに考えたら、山賊が現れた時点で、まずは千両箱をなんとか守りたくなるものです。それさえあれば、反物のほうはまたどうにでもなると思いますよね。
でも、この商人は、お客様との約束を最優先に考え、行動したわけです。
ここから学べることは、どんなに良い仕事をしようとも、どんなに納得できる仕事ができたとしても、納期や締め切りを守れなければ、依頼者に迷惑をかけることになって、信頼もなくしてしまいかねないということですね。
これでは、何のために良い内容で仕上げたのか、分かったものではありません。
仕事の出来も確かに大切なことですが、それよりも大切なこと、それは、「納期」「締め切り」なのではないでしょうか。
「あの人は締め切りをちゃんと守ってくれる」と思われるほうが、次の仕事の依頼につながりやすいはずです。
結果的に、「あの人にまたお願いしよう」となるので、仕事に困ることもなくなることでしょう。
やはり、物事を依頼する立場に立って考えてみると、いくら良い内容で仕上げてくれたとしても、納期を大幅に遅らせて納品されたら、「次もまたあの人に頼もう」とは、なかなかなりにくいのではないでしょうか。確実さに欠けることは致命的ですよね。
仕事ができる人──。
その一番の高評価が得られるのは、やはり「締め切りや納期を守れる人」ではないでしょうか。