相手に言えないことは、第三者を通じて

かつてホテル王と呼ばれたアメリカの実業家、コンラッド・ヒルトンの名を知っていますか?
ヒルトンは、あるとき、ハワイで経営するホテルで支配人を務めていた男性を呼び寄せ、「ハワイは世界でも屈指の観光地だというのに、年々、ホテルの売上げが低下している。あなたには危機管理の意識というものがないのか」というようなことを言い、咤したのだそうです。
人から叱咤されて、良い気分でいられる人なんていませんよね。ヒルトンからられた男性支配人も、ひどく落ち込んだそうです。
ここまでなら、よくある話ではないでしょうか。しかし、ヒルトンが決して凡人ではなかったゆえんが、次に続くエピソードに隠されていると思います。
ヒルトンは、その支配人を一方的にることだけで終わらず、その支配人の妻に、一通の手紙をしたためたのだそうです。
「今日、あなたの夫をったが、それは、彼がとても優秀なホテルマンであると見込んでいるからだ。だから、あなたから夫へ、私の本当の気持ちを伝えてほしい」
手紙は、こんな内容だったといいます。
手紙を受け取った支配人の妻が感激したのは言うまでもなく、その手紙を夫にも読ませたところ、大泣きしたということです。
感情的にならずにすむ
「ちょっとしたミスだったのに、部下を怒りすぎたかもしれない。部下のことを想ったつもりだったのに」
「あんなことを口にするつもりはなかったのに、ついカッとなって、あの人を傷つけてしまったかもしれない」
「ケンカをするつもりはなかったのに、つい口論が激しくなってしまった。このままにしておくのはマズいかも……」
社会に出て人づきあいをしていると、こんなことは少なからずあることですよね。
でも、当の相手には、なかなか直接言いづらいなんてこともあります。
それに、いざ面と向かってしまうと、また良からぬ感情がこみ上げてきて、さらに関係の悪化を招くようなことにもなりかねませんよね。
そんなときは、ヒルトンのように、第三者を通して、自分の本心が相手に伝わるように工夫をすると良い場合が往々にしてあると思います。
謙虚な気持ちや、相手を評価する気持ちが、第三者を介して伝われば、双方が決して感情的にならずに、それが正直な気持ちとして伝わるでしょうし、相手がわざわざそうしてくれたことに、少なからず誠意を感じることにもなりますよね。
相手との関係を修復したいけれど、面と向かって言うのは難しい……。そんなときは、迷わず第三者を通じて気持ちを伝えることで、意外にも早く解決できるかもしれません。