無心になるって、どんな状態のこと?

無心になるって、どんな状態のこと?

無心むしんになる、という言葉をよく聞きます。
私は、この言葉の意味がいまいちよく分かりませんでした。

イメージとしては、雑念や邪念がない状態で、物事に夢中になれる、没頭できるといったような感じに思っていました。
また、この無心になれることで、仕事もはかどるのだろうし、仕事に集中できることで、良い結果をもたらすであろうことも、なんとなく想像はしていました。

でも、子どもの頃には何かに夢中になれたり、高い集中力を発揮したことはあったかもしれませんが、特に年齢を重ねてきて、この「無心になれた」と自分で思えた経験が、まずありません。

この「無心」という言葉は、禅の世界から来ているのでしょうか。
「無心になることで、修行に集中できる」
「無心になることで、心の働きが活性化し、悟りを得る道が見えてくる」
こんな考え方が、禅にはあるようです。

しかし、「無心になる」というのは、口で言うのは簡単ですが、どういう状態なのか、よく分からないというのが本音ではないでしょうか。

鎌倉時代の禅僧である蘭渓道隆らんけいどうりゅうという人は、「無心とは、一切愚痴ぐちの心なきを言う」という言葉を残しています。

禅の修行と聞くと、私たちの中にあるイメージというのは、座敷の上であぐらを組んで坐禅をしている様子ですよね。姿勢が悪かったりしたら、バチーン!と叩かれたりして…。
でも、禅の修行というのは、それだけではないそうです。お寺や庭の掃除、食事のしたく、食事をすることもそうですし、托鉢たくはつに行くことも、すべてが禅の修行になるのだそうです。
※僧尼が修行のため、はちを持って経文を唱えながら人家を回り、米・お金をもらって歩くこと

その修行のときに、「毎日庭掃除して、何の意味があるんだ」とか、「こんな質素な食べものばかり。もっとうまいものが食べたい」、「こんな天気の悪い日に外に出て家々を回るなんて、面倒くさいな!」などと愚痴を言ってはいけない、心に思ってもいけないと、先の禅僧は言っているのです。

意味を考えず、ただ、その事柄にあたる

このように、「意味がない」とか、「イヤだ」「面倒だ」「やってられない」といった気持ちが、一切心に浮かんでこないような状態が、「無心になる」ということなのだそうです。

無心になるというのは、目を閉じたりして、なんとか自力で雑念を取り払って、思考を鎮めてから集中力を発揮するようなことかと、ずっと思っていましたが、まるで順序が間違っていたのかなと、そう思うようになりましたね。
目の前の事柄を行うことの意味を一切考えずに、ただ、その事柄にあたる」ということがいかに大切か、そして難しいかを、蘭渓道隆という人の残した言葉から学びました。これこそが無心であり、これが最も効率の良い行い方であり、最大限の成果をもたらすのであろうと、そう思います。

事柄にあたる前に、先にその意味や効率を考えすぎると、この無心にはなれないでしょう。
まずは、ただ、行ってみることで無心になれ、その過程の中で浮かんでくるアイディアこそが、最も高い効率や質を生み出すのではないでしょうか。

私たちの家庭生活や、仕事場では、どうしても何かを命じられたり、共同作業・連携作業で物事を進めなければならないことは、たくさんあります。
自分の本意ではないことを行わねばならないときに、こうした事柄にいちいち不満を抱いているようでは、なかなか無心になることはできないでしょう。
結果、集中力も発揮できなくなってしまいます。

ビジネスにおいても、いざというときに、こうした無心になることができれば、強い武器になるとは思いませんか?

関連記事

PickUp

  1. 船はいつになったら出港するのか
    「船は港にいれば安全だが、船はそのためにつくられたのではない」この言葉を聞いたとき、なるほどなと…
  2. 「可能思考」と「不可能思考」
    何か大きなことをやってみたい。こういった人生を歩んでみたい。日々、大きな夢や理想を描いて…
  3. 聞き上手が「運」をもたらす
    以前いた会社に、トップの営業成績を誇る女性がいました。何年もずっと変わらず、好成績をキープし続け…
  4. 非難や冷笑を受けても、非常識を貫く人
    いま常識だとされていることが、昔は非常識だったということは、たくさんありますね。あるいは、いま常…
  5. ムダなことは、一つもない
    かの豊臣秀吉が、まだ木下藤吉郎と呼ばれていた頃のことです。ある日、足軽大将になった藤吉郎が、…

新刊、発売開始しました。

今日から変わる。ちょっとずつ。

ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

おすすめ記事

  1. 桜の花に思う

    2016/3/31

    桜の花に思う
    早いもので、もう桜の時期ですね。報道によれば、すでにその壮麗な姿が人々の目を和ませてくれているよ…
  2. 体温を上げると、何がいいの?
    体を温めると病気になりにくいとか、体温が低いとがんになりやすいなどといった声も、ここ数年でよく聞かれ…
  3. 禁煙に「手遅れ」はある?
    私はタバコを吸わないのですが、喫煙している人を見ると、本当に美味しそうに吸っています。中には、わ…
  4. アルツハイマー病に効く漢方薬がある!?
    前回記事で、アルツハイマー病について書きました。簡単な内容ですが、参考になるのではと思います。…
  5. [アルツハイマー病]かかりやすい人、かかりにくい人
    近年、特によく聞くようになった、アルツハイマーという病気。私の知人にも数名、この病を患う方がいま…

アーカイブ

ページ上部へ戻る