損得計算をすることは、自分以外のものに振り回されること

損得計算をすることは、自分以外のものに振り回されること

禅の世界では、「意識」という言葉を、このように解釈するそうです。

たとえば初対面の人に会ったとき、「感じの良い人だな」「この人とは話が合いそうだな」という印象を持つことがあります。ピンとくる直感のようなものですね。
これを、「意識」の「意」の部分ととらえるのです。
でも、そんな好印象を抱いた相手にすら、「この人、良い人だけど、ずっと付き合っていていいのだろうか。自分にとって何かプラスになるのだろうか」とか、「わざわざ時間を費やしてこの人と付き合っても、何か得することがあるのだろうか」といった思いがわいてくることもあります。相手が自分にとって「良い」か「悪い」かを識別しようとしているわけですね。
これが、「意識」の「識」の部分ととらえるわけです。

この「識」の部分は、いわば「得をしたい」「損したくない」という損得勘定からくるものですよね。

たとえば、職場で新たな企画の話が持ち上がったとします。
瞬間的に、「あっ、この仕事やってみたい!」と思ったとします。(これは「意」の部分ですね)
しかし、いざ着手して、少しずつ仕事が進行していく段階になると、最初の新鮮な気持ちはなりを潜めてしまい、「いざ始めたはいいけれど、このまま続けても大した評価はもらえないかもしれない」とか、「結構大変そうな内容だから、大した成果が見込めないのであれば、時間と労力の損になるだけかな」などという感情がわいてくることがあります。これも損得勘定と言えるでしょう。(これは「識」の部分ですね)

当初、「意」のほうで感じていた新鮮な気持ちは、時間とともに色あせていき、代わりに「識」のほうが強くなってしまい、せっかく一度は「やってみたい」と思ったことでも、いとも簡単にやめてしまうことになりかねません。

もっと自分の直感にしがたって

私たちは生きているかぎり、多少なりともこの損得勘定とともに生きていることになります。あらゆる場面において、少しでも得をしたいと思うのは人情ですしね。
しかし、あまりにも損得計算の度が過ぎると、自分の直感からわいてくるやる気や好奇心を抑え込んでしまうことにもなります。
いくら頭が良くても損得計算で物事の良し悪しをすべてうまく選別できるわけではないので、それは、大きなチャンスをふいにしてしまうことにもつながるわけですね。

多少の損はしても、自分の納得のいくようにすれば、「自分のしたいこと」「自分が付き合いたい人」に正直に向き合うことができますが、ここに損得計算が介入すると、自分の正直な気持ちがいつまでたっても分からないことになってしまいます。
それは、他人や仕事に振り回される人生を作っていくことになってしまいます。

損得のことや結果をあまり気にせず、自分が直感的に好きだと思った相手とは付き合えばいいし、やりたいと思えることがあればやってみるべきですよね。
自分の人生なのですから、自分の「意」にしたがって、それこそ「意のままに」生きてみると、もっと充実してくるのではないでしょうか。

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ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

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