心の「落差」を小さくしておく

「失意泰然」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、物事がうまくいかず、たとえ失望するようなことがあったとしても、そこで落ちこんだりせず、穏やかな気持ちでいるということです。
いっぽう、「得意淡然」という言葉もあります。
先ほどのものと似たような言葉ですが、これは、物事がうまくいっても、有頂天になったり、いい気になっておごり高ぶることなく、先の「失意泰然」と同じく、やはり安らかな気持ちでいるという意味です。
自分が頑張ってやってきたことがようやく実を結んで、うまくいったら、躍り上がって喜びたくなります。
喜ぶこと自体は良いことです。でも、それであまりにも舞い上がってしまったら、人の意見やアドバイスに耳を傾けられなくなりますし、次の瞬間にうまくいかない事態に直面すると、失意のどん底に突き落とされるようなこともあるかもしれません。
有頂天になっていたぶん、その落差が大きければ大きいほど、落ちこみようも激しいものでしょう。ショックから立ち直れないなんて経験をしたことのある人も多いのでは?
うまくいくことばかりだったらいいのですが、まずそんな人生はないと言い切ることができるでしょう。
そう、人生、まさに「山あり、谷あり」です。
必要以上に感情の起伏を出さずに
物事に一喜一憂してこそ人間らしい、という考え方もあると思いますし、喜ぶときは思いっきり喜んで、悲しむときには思いっきり悲しめばいいという考えにもうなずけます。
でも、その落差があまりにも大きいと、人は自分自身を見失ってしまって、人生があらぬ方向に向かってしまうこともあるし、その感情の起伏によって周囲を振り回してしまうこともあります。
何が起ころうとも、すべては起こりうること(過去記事参照)と受け止めて、心の浮き沈みを小さくしておくと、良いことがあっても、反対に悪いことがあっても、あまり動揺しなくてすみます。
動揺することを避けられれば、どんな事態を迎えても、物事を正しく判断することができるのですね。
だからといって、感情を無理に押し殺すということではありません。必要以上に舞い上がったり、落ちこんだりしないようにすることが大切だということですよね。
そのためには、嬉しい出来事があっても、あまり有頂天にならず、浮かれすぎずに、どこか地に足のついた冷静な自分を確保しておくほうが良いでしょう。
この訓練ができていると、訪れる事態にいちいち振り回されて、動揺することも最小限にできるはずです。