幸せな人生と、不幸せな人生

幸せな人生と、不幸せな人生

以前、書籍編集の仕事をしていたときの話です。

ある書籍の表紙を、独創性のあるイラストで飾ってみようと企画し、二人のイラストレーターに昨画を依頼しました。
一人だけだと、比較材料がなくなるからです。
二人は、まだイラストレーターとしては駆け出しで、さぞかしイキの良いデザインをしてくれるだろうと期待してのことでした。

もちろん、駆け出しなので、それほど謝礼は払えません。
二人が絵を仕上げてくれて、それからほどなく謝礼を2万円ずつお支払いしました。

すると、片方のイラストレーターは、少し困惑したような表情で、「あ、今回の制作費は、これですべてということですかね?」と聞いてきました。さらには、「相場って、もうちょっと高かったような……」と、明らかに金額の少なさに不満を抱いているような表情をしていました。

これに対して、もう一人のイラストレーターは、「書籍の表紙の絵が描けるなんて、めったにない機会を下さって、ありがとうございます」「ひょっとしたら自分の絵が表紙になって、全国の書店に並ぶかもしれないと思うと、ワクワクします」と言った上で、「おまけにお金まで頂いて、感謝しかありません」と、とても幸せそうな顔をして言ってくれました。

結局、私の力不足もあって、両作品とも表紙には採用されなかったのですが、二人の対照的な表情が、今でも鮮明に記憶に残っています。

幸せな日か、不幸せな日か

謝礼を渡したその日は、一方のイラストレーターにとっては「不幸せな日」となってしまったのかもしれません。
しかし、他方のイラストレーターにとっては、その日は感謝も感動も味わえるという、幸福感に満ちた日となったに違いありません。

同じことをして、同じ報酬を与えられても、こうも受け取り方が違うのであれば、どちらがいいかと言えば、誰しも幸福感を抱きたいものですよね。

考えてみると、私たちは毎日毎日、このように日常で起きる出来事に「幸福」か「不幸」かを感じながら生きているのではないでしょうか。

「幸せな一生」「不幸せな一生」とはよく使われる言葉ですが、その違いとは何かというと、まさに毎日毎日過ぎていく日常の中で、「幸福」だと感じる日数が多かったか、それとも「不幸」だと感じる日数が多かったか、その集大成なのではないでしょうか。

日々、瞬間瞬間に起こる出来事が、「ありがたい」「幸せだ」と感じられる心があれば、その日は間違いなく幸せのうちに終えることができるのでしょう。
しかし、その心は、地位や名誉、財産を多く持ち合わせていさえすれば育まれるものではない、ということは、もうお分かりですよね。

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ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

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