執着から生まれる不安感が、幸せ感をかき消す

執着から生まれる不安感が、幸せ感をかき消す

努力して、なかなか手に入らないものを手に入れると、今度はそれを失いたくないという気持ちが芽生えてきます。
それによって、自分では気づかない「大切なもの」を失うということもあります。

この仏教の話は有名ですので、すでにご存じかもしれません。
あるお金持ちの話です。

あるお金持ちは、商売で儲けたお金を、一銭も失いたくないという気持ちから、そのお金をどこに保管しておこうかと悩みました。
まず、家の金庫に保管することを考えました。しかし、「もしお金をネズミにかじられてしまったらどうしよう、もし家が火事になったらどうしよう」などと不安になりました。
そこで考えたのが、土の中に埋めることでした。
しかし、土に埋めるとモグラにお金を持っていかれるかもしれないと、また不安になってきました。
そこで、今度は、森の中にどこか隠しておこうと考えました。しかし、森の中で迷ってしまって隠し場所が分からなくなってしまったらどうしようと、また不安になってきました。
このお金持ちは、そんなことを考えているうちに、とうとうノイローゼになってしまったのだとか。

この話を普通に聞くと、なんてバカな人なんだと思うでしょうが、大金を手にしてテンパってしまったのかもしれません。
いずれにせよ、可哀想な話ですね。

この話には、まだ続きがあります。
あるときこの金持ちの住む村にブッダがやってきたので、会いに行きました。
そこでブッダに「お金をどのようにして保管しておけば、安心できるのか」と相談したそうです。
ブッダは、「お金を失いたくないという気持ちでいる限り、安心はできない」と、ここまでは想定できる回答ですが、なんとブッダは、「いっそ、困っている人のために寄付しなさい」と言ったそうです。そうすれば心の安らぎを得られるというのです。

それほどお金に執着を持っている人間が寄付なんかするでしょうか。
しかしこの話によれば、ブッダの言葉通り、困っている人のためにお金を使ったそうです。
すると、なんと、心に安らぎがもたらされたのだそうです。

「お金がないときのほうが幸せだった」

この手の話は、実話かどうか定かではなく、真理を説く上で分かりやすくするために創作されたものかもしれませんが、大金を手にすると、大なり小なりこの話の主人公のような気持ちになるのではないでしょうか。

大金を手にして幸せなはずなのに、かえって不安感を抱くという不幸な時間を過ごすことにもなりかねないわけですね。
せっかく儲けたお金が減ってしまうようなことになったら、どうしよう‥‥と考えるクセがあるわけですよね。

世の中ではこういう人を「ケチ」と呼んだりしますが、物事への執着が強い人と言えるでしょう。

私の知人で、かつて世界最大級の投資銀行であるゴールドマン・サックスに在籍し、当時トップの営業成績を残した者がいます。数億という年収を手にしていたといいますが、どうやら今は経営する会社も赤字で、当人も少々お金に困った暮らしをしているようです。
この知人が言うには、「お金があったときよりも、お金がないときのほうが幸せだった」と。
意外でしたが、やけに実感が込められているなと思ったものです。

お金があれば何でも望みがかなうと思いがちですが、その代償として、心の安らぎが奪われることだってあり得るわけですね。
お金というのはただの紙切れです。現代社会ではこれがないと生活に困りますが、その紙切れに異常に固執してしまうと、心の中の大切な物を失う危険があるということですね。

お金で買えないものが確かにある、という話でした。

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ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

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