人のために生きられる器

人のために生きられる器

ふと、この人のことを思い出しました。

「近代日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一氏の残した功績は、多くの視聴者から支持を得た連続テレビ小説でより広く知られたことと思います。

順風満帆とは言えなかった渋沢氏の転機となるフランス滞在後、帰国した氏を待ち受けていた日本はすでに明治維新に。氏のめざましい活動は新政府の目にとまり、政府に請われ大蔵省に入省した氏はスピード出世を遂げるも、強大な力を持つ官吏にすり寄ろうとする商人たちの態度に納得がゆかず、「自分の身を商工界にゆだね、率先して育成しなければ」と退省を決意します。
これが「日本資本主義の最高指導者」と呼ばれる第一歩であったのでしょう。

以降、第一勧業銀行の前身の第一日立銀行をはじめとして国内の名だたる会社を500あまり設立し、600以上の社会福祉、教育などの社会公共事業を創設、または主宰しています。
氏は経済活動で得た富を惜しみなく人のために使いました。自らの働きを社会に還元したわけです。
この行いが、日本に富を再生産したことは言うまでもないでしょう

氏が息子たちに語ったこの言葉は有名ですね。
「わたしが、もし一身一家の富むことばかり考えたら、三井や岩崎にも負けなかったろうよ。これは負けおしみではないぞ」
この言葉は、みずからの富を追求する経営が根強くはびこるいっぽうで、個人よりも社会の富を優先し、繁栄に貢献してきたという誇りとプライドの表れだったのでしょう。

社会に還元する

人は、自分以外の人のために生きようとすると、不思議とそれまで発揮しえなかったようなパワーが出てくるものです。氏はまさに、人のために自分を使い、その結果社会を富ませるパワーを発揮していたのです。

国家の要人がそうした器を備えれば、社会のシステムは大きく変わると思いませんか。
経営者がそうなれば、企業の行き詰まりはないはずです。
サラリーマンがこの器を発揮できれば、リストラの脅威に怯えることもなくなることでしょう。

私たちも同じ人間である以上、渋沢氏と同じ器が眠っているはずです。ただ、なぜだかその器を小さくしてしまっていないでしょうか。氏のように人のために自分の才能や富を使う器を備えることができれば、日本の政治も企業活動も、そして個人の生活も従来とはまったくスケールや充実度の違ったものとなるはずです。

「余りあるを持って人を救わんとするは、ついに人を救う日なし」
自分が蓄えを持とうとしても際限がありません。得た富を惜しげなく社会に還元するという姿勢を貫いた氏の言葉に学ぶことは多いはずです。

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