不運の先に幸運はある

不運の先に幸運はある

私のかつての部下に、こういうのがいます。

とても良い感性を持っているのに、実直に仕事と向き合うのが苦手で、何事も中途半端にしかできず、たえず同僚から白い目で見られていました。
子どもを3人も設けたのはいいけれども、そんなだから上司から認められることはなく、待遇も良いはずがありません。年収も100万円台という状況が続いていました。(よく労働基準法に触れなかったなと思いますが)
子どもたちも養っていかなければならない、奥さんが働こうにも保育費もかかる。家賃もある、人と交際するにもお金がいる。
そうこうしていたらアパートの玄関に家賃督促の赤紙を貼られ、「どうするんだ!」と奥さんから詰め寄られる始末。光熱費も未払いが続いていました。
彼は、ついに会社を辞めて私のもとを離れ、ネットビジネスで生計を立てようと奮起するのですが、なかなかそうもうまくはいかず、日雇い労働をしたりするうちに、過労がたたり、急激な腹痛に見舞われて救急車で病院に搬送されました。
やっと退院したかと思ったら、今度はバイク事故を起こし、幸い大事には至りませんでしたが、「彼は本当に不運が続くなぁ」と周囲も心配をしていたものでした。

それから数年後、実に久しぶりに会ったら、どうも様子が違っているのです。
聞けば、ネットビジネスで成功し、今や年収数億円にもなるということ。六本木ヒルズに住まい、高級外車を何台も乗り回すようになっていたのです。

彼はこう言います。
「自分はなんて運がない人間なんだろうと、思い続けた時期がありました。○○さん(私の名前)を見ていてうらやましかった。さすがに子どもも3人いましたので、生活費をどうしようと焦りでいっぱいになり、足が空回りして、やることなすことすべてうまくいかなかったように思います」

私はうなずきながら、彼の話を聞いていました。
すると、こう打ち明けてきたのです。

「でも、成り行きとはいえ、会社を辞めて良かったです。あのまま、あの会社にいたら、今の私はいませんでした。ネットオークションや日雇い労働でも様々な経験ができて、今の成功の糧になったのは事実です。まるで学歴もない私がここまでになれたのも、ひとえに前の会社で冷遇されたからです。そのことに、今はむしろ感謝しているくらいです」

あり得ないような不運も「強運」のうち

感謝の言葉まで述べるようになった彼を見て、ふと思ったのは、彼はまさに、「運がないという『幸運』」に恵まれていたのではないでしょうか。
もっと言えば、不運の先にある幸運を、彼はどこか心の奥底で信じており、耐え忍ぶことができたからそれがかなったのではないか、と。

会社での待遇が悪かったがゆえにしかたなく始めたネットビジネスや日雇い労働をし、挙げ句の果てには事故に遭ったりし、はた目には「運がないやつだな」と思われるかもしれませんが、それでも着々と目の前のことをこなす日々によって、確実に「幸運」を蓄えていっていたのではないでしょうか。

なにも、人間にとって怪しいネットビジネスをやったり年収数億円になるのが正解だと言っているわけではありません。
しかし、私のかつての部下が、年収額以上の輝きを両目にたたえて、満面の笑顔でいるのを見たときに、不運だと思える時期をちゃんと活かして、ステップアップできたんだなと思わざるをえないのですね。

こう考えると、「あり得ないような不運」も、「強運のうち」と言い換えることができるのかもしれないですよね。

私たちはどうしても、目の前に不運が訪れると、それを嘆くことしかできません。
しかし、その先に幸運が待っているということは、往々にしてあるということも、知っておかなければならないでしょう。

そうしないと、やがて訪れる幸運さえも逃がしてしまいかねないのですから。

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ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

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