テレビやインターネットの情報を鵜呑みにしない

近年は特にそうですが、テレビや雑誌、インターネットなどといったあらゆるメディアから、毎日、実に様々な情報が大量に入ってきます。
そして、そうした情報の中には、絵に描いたような幸せな家庭が描かれたりすることもあります。
立派な家に住み、家族は仲が良く、お母さんは家事を完ぺきにこなし、毎日美味しい料理を作ってくれる。子どもはいつも笑顔で朗らか、お父さんはいつも子どもの相手をしてくれて、休みの日には必ず遊びに連れて行ってくれる。
そんな理想的な絵柄がドラマなどで描かれると、つい今の自分の置かれた状況と比較して、落ち込んでしまう材料にもなってしまいます。
しかし、よくよく冷静に考えてみると、そんな家庭が現実にどれほどあるでしょうか。
芸能人や起業家が大成功をおさめ、優雅に豪邸に住まう様子を目にしては、それとはほど遠い自分をイメージして、落ち込んでしまう。
キレイな女性アイドルが華やかなステージで歌い踊る様子を見ては、自分とのギャップに気を落とす。
「○ケモンGO」などといったスマホゲームをしている人たちが一斉に映し出されると、それをしていないと時代遅れみたいに思ってしまう。
これらもすべて、その裏にある暗い実情や弊害について、まるで報じられることはありません。
あるいは、子育ての情報として、5歳の子どもの平均身長はこれくらいで、平均体重はこれくらい。平均してこの程度の言葉を話す、平均的な運動能力を持つ子は鉄棒で逆上がりができる、などというように、「平均」としてよく報じられますが、この「平均値」にすべて合致している5歳児というのは、実は一人もいないそうなのです。
氾濫する情報に流されず、うまく選別する
こういう情報を目の当たりにして、感情が振り回されるという人も、いるのではないでしょうか。
「水急不月流(みずきゅうにしてつきをながさず)」という禅の言葉があるようです。
その意味は、「水面に映っている月影は、いかに水の流れが急であったとしても、決して流されることはない」ということなのだそうです。
「水の流れ」というのは、次々と流れ込んでくる「情報」と置き換えることができないでしょうか。そして「月影」とは、そこに浮かぶ自分自身の心と置き換えることもできるでしょう。
いかなる情報が流れてきたとしても、どんな良さそうな価値観が述べられようとも、それに流されないことの大切さを説いているのですね。
もちろん、情報の中には、本当に良質で役に立つものもあります。
しかし、その裏に利益がからんでくると、どうしても誇張したり過剰に美化したりしなければならない場合が往々にしてあります。
世にあふれる情報に接しても、決してすべてを鵜呑みにして流されていくのではなく、有用な部分とそうでない部分とを選別できる「目」を、ふだんから養っておきたいものですよね。