オリジナリティにこだわると、個性は身を潜めてしまう

オリジナリティにこだわると、個性は身を潜めてしまう

最近、やたらと奇抜なイメージや、キャッチコピー、ネーミングが世間に横行しているように思うのは、私だけでしょうか。

テレビCMなどを見ていて、ユーモアに富んだものであればクスッとさせてくれるし、面白いなとは思います。
でも、奇をてらいすぎて、わけの分からない言語やデザインが施されている商品をよく目にします。音楽グループのネーミングにも、よくあるとは思いませんか?

「個性が重要視される時代」と言われて久しいですが、要は、いかにすれば他者(他社)と差別化をはかれるかを、皆が血眼ちまなこになって模索しているわけですね。
商品にしろ、サービスにしろ、個性をありありと出したネーミングやキャッチフレーズが重要になってくるし、ひいてはそれが他者と差別化をはかる肝心なファクターとなってくるわけです。

でも、それが「個性を演出するための個性」になってしまっては、元も子もないわけです。

あるファッションデザイナーが、まだ駆け出しだった頃の話です。
当時は、とにもかくにも個性的なデザインの洋服を作ることばかり考えていたと言います。そうしたリクエストが多かったのではないでしょうか。他者とは違う個性を発揮できてこそ、デザイナーとしての価値を創り出すことができると思っていたはずです。
こうした考え方は、デザイン業界だけではなく、ビジネス全般にわたってあると思います。
「個性を発揮する」ということは、とても重要なことなので、考え方自体は間違ってないと思います。

しかし、このデザイナーは、個性を発揮しようと躍起やっきになって、「とにかく目立つものを」「色彩が際立つものを」「とにかく奇抜なものを」と、常識では考えられないデザインを提供することばかりに心血を注いだそうです。

そうすると、周りから「悪趣味だ」「こんなものを着て出かける場所がない」「着づらい」などといった悪評を買ってしまったとのことなのです。

いくらデザインに凝ろうとも、商業ベースで行われていることですから、商品として成立しなければ意味がありません。

このデザイナーが賢明だったのは、そうした悪評を受けてからというもの、「個性」を発揮することにこだわらず、自分の感性に素直に従ってデザインするように変わっていったそうです。
するとどうでしょう。だんだんと「彼女のデザインした洋服は個性的で、素晴らしい」という評判が生まれてきたというのです。

「個性」を意識しすぎた時点で、他者に負けている

個性を発揮しよう、発揮しようと頑張ってみても、それは「自分の個性」ではなく、「個性に見せかけた偽りの奇抜さ」に他なりません
また、こうした偽りの奇抜さというのは、頑張って演出してみたところで、決して長続きするものではありません。たえず「こんなので大丈夫かな」「もっと奇抜じゃなきゃだめなんじゃないかな」と不安に駆られながら仕事をしなければならなくなります。

また、個性を出すことにこだわりすぎると、それは「個性」ではなくて、「普通とは違ったことをやって、世間の注目を浴びたい」という「欲」にすり替わってしまいます。
欲を出しすぎると、人間は必ず良からぬ方向に向かってしまいます。(過去記事「結果を追い求めるのではなく、そこに至るプロセスを楽しむ」「自分自身が、どうであるか」参照)

会社の会議などで、その企画・デザインのどこに個性があるのかを問われることもあると思います。企画会議やデザイン会議などではなおさらでしょう。
個性的なビジネスを展開しないと、競合他社に勝てないという論理も、もっともです。
こうした情勢下で、多くのビジネスパーソンは、オリジナリティを発揮しようと躍起になっているはずです。

でも、そういう状況下であるからこそ、ちょっと立ち止まってみて、大きく深呼吸をして、先のデザイナーのエピソードを思い出して、無理に個性を発揮しようと思うよりも、「素直に自分の感性に従う」ほうが、良い結果をもたらす可能性が高いはずです。
そしてこれは、デザインの分野だけに言えることではなく、ビジネス全般にわたって言えることだと思います。

ここからは完全に憶測ですが、先日世間を賑わせた、2020年東京五輪のエンブレムのデザイン盗用問題にしろ、やはり奇抜さを求めすぎた結果の出来事だったのではないでしょうか。
肩の力を抜いて、日本の良さ・美しさをロゴとして素直に表現できていれば、もっと結果は違ったかもしれません。
それをデザインする人の、デザイナーとしての感性に素直に従っていれば、もし仮に採用されていなかったにせよ、悔いは残らないだろうし、次の仕事に大いに活かされたのではないかと、そのように思う今日この頃です。

でも、この記事を書いていてふと思ったことですが、他者を意識して、オリジナリティで負けないようにしたいと思った時点で、すでに他者に負けているということなのかもしれませんね。
ここは、大いにビジネスの教訓にできるかもしれません。

関連記事

PickUp

  1. 人は、前向きな話をしてくれる人を好く
    こんな人がいます。 「あなたは今日も元気そうですね。私も元気になりました」 「その件については、…
  2. 「何をやるべきか」より、「何をやりたいか」
    私たちは生きていると、ときとして重大な選択を強いられることがあります。 「職種Aの道に進むのが…
  3. 「能力不足」ではなく「行動不足」
    人よりも優秀な頭脳を持っていて、ひらめきやアイディアも豊富に持ち合わせていながら、自分ではなかなか成…
  4. 昔の感動体験を思い出してみよう
    私たちは、子どもの頃から歳を重ねれば重ねるほどに、成功した体験、あるいは失敗した体験を、さまざまな形…
  5. 「世界的な企業」の創業者がやったこと
    「世界的な企業」と呼ばれる、名だたる企業の創業者とされる人たちがいます。 この創業者らには、共通し…

新刊、発売開始しました。

今日から変わる。ちょっとずつ。

ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

おすすめ記事

  1. 桜の花に思う
    早いもので、もう桜の時期ですね。 報道によれば、すでにその壮麗な姿が人々の目を和ませてくれているよ…
  2. 体温を上げると、何がいいの?
    体を温めると病気になりにくいとか、体温が低いとがんになりやすいなどといった声も、ここ数年でよく聞かれ…
  3. 禁煙に「手遅れ」はある?
    私はタバコを吸わないのですが、喫煙している人を見ると、本当に美味しそうに吸っています。 中には、わ…
  4. アルツハイマー病に効く漢方薬がある!?
    前回記事で、アルツハイマー病について書きました。 簡単な内容ですが、参考になるのではと思います。 …
  5. [アルツハイマー病]かかりやすい人、かかりにくい人
    近年、特によく聞くようになった、アルツハイマーという病気。 私の知人にも数名、この病を患う方がいま…

アーカイブ

ページ上部へ戻る