「自分だけでなく、みんなも幸せに」

「自分だけでなく、みんなも幸せに」

「蜘蛛の糸」という小説をご存じでしょうか。芥川龍之介の作品です。
私も幼い頃、この話をさんざん聞かされた記憶がありますが、今の若い方などは、ひょっとしたらご存じないかもしれませんね。

生前、悪事を働いた男が、地獄にいました。
しかしこの男は、一度だけ、小さな蜘蛛を踏み殺すことを思いとどまり、助けてやったことがあったのです。
お釈迦様は、それに免じて、地獄の底から男を救ってやろうと、一本の蜘蛛の糸を男のところに垂らしてあげました。
男は糸を見つけるやいなや、その糸につかまり、必至になって上へ上へと上り始めました。
ところが、途中でふと下を見てみると、地獄にいる他の者たちまでもがその糸につかまって、よじ上ろうとしています。
男は、「このままでは、重さに耐えられずに、糸が切れてしまう」と思い、下からよじ上ろうとする者たちに対して、「この糸は俺のものだ。おまえたちは下りろ」と言い放ちました。
すると、次の瞬間、糸は、男がぶら下がっているところから突然切れ、男は再び地獄へと真っ逆さまに落ちていってしまったのです。

救いを得られる人、チャンスをつかめる人

この話から学べることは、せっかく再起できるチャンスを与えてもらっておきながら、自分のことだけを考えて、最後の最後で我欲を丸出しにしてしまうと、そのチャンスをフイにしてしまいかねないということですね。

日常の中で、私たちはつい、「自分さえよければ、それでいい」という意識で物事を行うようになります。特に、何かと気ぜわしい現代人においては、その傾向が強いと言えるのではないでしょうか。他人を思いやる気持ちがなかなか持てないのですね。田舎から都会に出てきた人が、そういう空気を感じるという話もよく聞きますよね。

自分を救ってくれる一本の糸が、あるいは、自分に何らかのチャンスを与えてくれる一本の糸が、目の前にスーッと下りてきたとき、「自分だけが助かれば」「自分だけがチャンスをつかめれば」と考えるか、「自分だけではなくて、みんなも一緒に」と考えるかで、その救いを得られるか、あるいはチャンスをものにできるかが分かれてくるものなのでしょう。

そして、それは、ひとえに「我欲」が強いか、そうでないかの違いなのでしょう。

確かに、ウカウカしてなんかいたら自分の幸せさえも逃してしまう、というような風潮が強い昨今において、他人の幸せまで感知できないというのが正直なところかもしれません。
でも、我欲に固執することで、自分さえもそのチャンスをものにできなかったら、まったく意味がないことだとは思いませんか。

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ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

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