「手放す」のではなく、「本来の状態に戻る」

手放すことの喜び

皆さんは「ゲイン・ロス効果」という言葉をご存じですか。
「ゲイン」は「得る」、「ロス」は手放すといった意味を持ちます。

右肩下がりの時代と言われる今日では
年々、生活水準が下がっていくケースは少なくありませんね。

「今年より来年は給料が上がっているだろう」
「来年こそは車の一台も買えているだろう」
といった憶測が容易に成り立ったのは、たぶん一昔前のことでしょう。

「手放す」「失う」事態に遭遇すると

勤務先の組織の都合上、今の役職を手放さなければならない、
せっかく購入したマイカーをやむにやまれず手放す、
そういった「手放す」という事態に遭遇することは
多かれ少なかれ、だれにもあることでしょう。

まして、景気の推移を観察するかぎりでは
これから、この「手放す」という必要に迫られることは増えるのかもしれません。

冒頭にご紹介した「ゲイン・ロス効果」というのは
人が「絶対量ではなく、変化量に強く反応する」、
つまり、今そこに実存する量ではなくて
その最終形態に至るまでに変化した際に生じた差分に幸・不幸を感じるという意味です。

年収が200万円だった人が年収500万円にアップした時の喜びは大きいでしょう。(^^)/
でも逆に、年収が2000万円あったのに今年は1000万円に下がったという場合には
前者の2倍報酬を得ているにもかかわらず、落胆をし、時には「生活していけるだろうか」という不安にさえさいなまれるようになります。(>_<)

最近よく耳にする「仮面うつ」の症状も、こうした執着が一因になっているそうです。

例のように、十分な報酬を得ても、例外なくゲイン・ロス効果の対象者になってしまえば、それが自己を蝕んでしまうことにさえなりかねませんね。(T_T)

恋人に置き換えてたとえてみましょう。
長年恋人がいなかった場合と、つい最近恋人と別れたという場合では、
新しく恋人ができた時に感じる喜びは
たいていの場合、長年恋人がいなかった場合のほうが大きいでしょう。

恋人ができた、という事実には差はないのに
感じるよろこびは前者のほうが大きいのです。

逆に、「失う」ということでみてみると
一度何かを得て、それを手放すということは
もともとそれを持っていなかった状態に戻るというだけなのに
「失った」という強い喪失感から悩み、悲しみ、苦しみが生まれてきます。

これでは、せっかく良いものを得たとしても
最初からそれを得なければ、悩み、悲しみ、苦しみを抱え込む必要もなかった、ということになります。

「一切皆無」

「一切皆無(いっさいかいむ)」という考え方があります。仏教の言葉だと思います。
「もともと、すべては無である」ということですね。
私たち人間も、生まれた時は一糸まとわぬ姿で産まれます。
間違っても、お金や家や車、地位や名誉をたずさえて産まれてくることはありません。

「手放す」「失う」という言葉は、なにかネガティブな響きを持ちますが
そもそも、もともとの状態に戻るだけ、ということです。
しかも、「手放す」ことで、案外、余分な荷物をおろしてもともとの状態に立ち戻ることで
自分自身をしっかりと見つめることができて、深い安らぎ・安心感を得られることで、より誠意をもって仕事に向かうことだってできます。

すべては自己の向上のために。
「手放す」ということをもっと前向きに考えていきたいものですね。

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ムズカシイことなんていらない

人は誰でも、何か事あるたびに、「自分の人生はなぜ思うようにならないのだろう」と考え、そして悩みます。
それは、能力や努力不足に問題があるのではなく、その人の考え方(思い込み)に起因するところが大きいと言えます。
本書には、私たちがなかなか気づかなかった、迷いからの脱出口を発見できるよう、できるだけヒントを挿入していったつもりです。

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