「カムカムじいさん」お金に勝る満足感

「カムカムじいさん」お金に勝る満足感

12月13日(日)、某局のニュース番組で「カムカムじいさん」を報じていました。
映画のタイトルみたいなこのニックネーム、聞いただけだと何のことやら分かりません。

番組のうろ覚えで申し訳ないのですが、大阪から出る路線で、関西国際空港行きと和歌山方面行きに分かれる「魔の分岐点」と呼ばれる中途駅があるとのこと。
この分岐がすごく分かりづらくて、思わぬ方面に乗り過ごしてしまう人が後を絶たないそうです。番組によれば、同じ車輌に乗っていても、その号車によって分岐が変わってくるというケースもあるようです。
JR西日本によれば、そうした分岐の案内を車内にアナウンスする際に、日本語と英語では行っているが、中国語では行っていないとのことです。
(ここはあくまでJR西日本の方針なので、避難されるべきではないでしょう)

そこで、この電車に乗る、特に中国人が、空港に行きたいにも関わらず和歌山方面に連れて行かれるケースが頻発していたそうです。

この「カムカムじいさん」とは、昔、保険会社でトップセールスマンとして活躍していた人ですが、そうした現状を見かねて、自ら自腹で乗車賃を出してその電車に乗り込み、中国人らしき人(あるいは集団)を見つけては、その人たちが誤った車輌に乗車していると直感的に悟ったら、「車輌を移動しないと大変なことになる」ということを、片言の英語とジェスチャーを交えながら懸命になって伝え、途中の駅で電車が停止した際に、その中国人たちを別の車輌に移動させてきたそうです。

その、移動させる際に「カム、カム」と連呼していたから「カムカムじいさん」なのだそうです。御年80歳。

このカムカムじいさんが車輌の乗り間違いを指摘して、事なきを得た外国人の人は、実に数千人におよぶそうです。

ここにポイントをまとめます。
・誰から頼まれたわけでもなく、自らやっている
・たとえ言葉が通じなくても、あきらめずにやっている
・これをするための乗車賃は完全自腹。ましてこの作業が一銭になるわけでもない
・突然話しかけた相手に不審がられたり、迷惑に思われることもあるはず
・もちろんJR西日本からの見返りはゼロ

これだけでも、私には真似ができません。

このカムカムじいさんは、半月ほどこの行動を繰り返して、いかに多くの外国人が車輌の乗り間違いをして困っているかの現状をデータに記してJR西日本に直接持ち込むも、担当者からは素っ気ない対応をされたので、1ヶ月は続けてみようと思い、次に1ヶ月分のデータを持ち込んだそうです。

費やしたお金や労力以上の「満足感」を生む「無償の行為」

そしてその後、JR西日本から表彰されたそうです。

印象的だったのは、番組取材時のご本人のコメントでした。
「おもてなしの国とよく聞いていたが、こんなこともできずして『おもてなし』なんてよく言えたと思う」
「これがもし、お金をもらっていたら、私自身、楽しくやってこられなかったでしょう」
「あの人たちが帰国してから、『あの日本人がいてくれなかったら大変なことになっていた』と感謝されているだろうなと想像するのが心地良い」
「(取材者に対して)あなたも60歳になったら(無償の行為がどれほど良いものか)分かりますよ」

誰もがお金のために生き、お金のために働き、お金のために苦悩し、お金のために人を傷つけ、お金のために犯罪をおかす世の中です。
ビジネスという名のもとに、日々、いかに人にお金を払わずにすむかを考えながら、いかに人からお金をとってやるかを考えていないと生きていけない、そんな世の中と言っても過言ではないでしょう。
当然、そんな世の中では、所持しているお金の多寡たかが幸せに直結すると考えるのも無理はありません。

でも、このカムカムじいさんが教えてくれることは、自分の気持ちに正直に行動するときには、お金うんぬんを言う自分はいない、ということですね。
事実、このカムカムじいさんは、費やしたお金や労力以上の「満足感」を得ています。
いつも頭の中でそろばんを弾いているような人には、とうてい味わえない満足感を。
これはお金では買えないでしょう、きっと。

私も実感はありませんが、これだけお金の重要度を教え込まれて育っている現代人にとって、私利私欲を一切考えないで行動をするためには、まず「誰かのために」という気持ちがないとできないですね。

カムカムじいさん、底抜けに晴れやかな表情をしておられました。
何千万、何億と貯めても、ここまで晴れやかな表情ができるのかな。。そんなことを強く実感したニュースでした。

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