「と」の心と、「の」の心

「と」の心と、「の」の心

禅の教えの一つに、すべての物事と向き合うときに、「と」の心で物事を見ないようにし、「の」の心を持つ、というものがあるのだそうです。

と? の? 何のことやら分かりませんよね。

「と」というのは、どういうことかというと、「私と夫」「私と仕事」「私と友だち」という「と」です。間に「と」が入ると、自分と他方はあくまで別個の存在であって、ときとして対立をする間柄にもなるわけですね。
「私と夫」という考え方をすれば、他人どうしというわけでもないにせよ、「自分は自分、夫は夫」というあくまで違う存在であるという前提になって、意見の食い違いから腹を立てることにもつながることでしょう。
「私と仕事」という考え方をするから、これもまたあくまで別個の存在になってしまって、仕事が対価をもらうための単なる方法論にすぎないものになってしまって、ちょっと何かあればすぐに不平不満が出てくることになってしまいます。
同じように、「私と友だち」というふうに考えるから、自分にとって友だちが比較の対象になってしまって、競争心とか嫉妬心が出てくることもあるでしょう。

「の」のほうが優しい気持ちになれる

「と」ではなく、「の」の心を持つと、どうなるかというと、「私の夫」ととらえれば、自分と夫との一体感が生まれます。夫に何かあれば、自分のことのように思えるようになるはずです。疲れた顔をしていれば、優しい言葉の一つでもかけてあげたくなるでしょうし、楽しそうにしていれば、それが自分のことのように嬉しくなるはずです。

私の仕事」ではどうでしょうか。
どんなに困難をともなう仕事でも、自分の仕事だと考えれば努力は惜しみません。より良い成果を出そうと積極的に取り組むことができるでしょうし、その仕事を終えたときの達成感もひとしおでしょう。多少のことで仕事に不満を持つことなどなくなるはずです。

私の友だち」も、同じことですね。
まるで、他人のはずの友だちが、自分の家族きょうだいのように思えてくる。友だちに何か喜ばしい出来事が起これば、自分のことのように嬉しくなってきます。逆に友だちに悲しいことが起これば、何か役に立てることはないかと真剣に考えます。友だちが困っているのを見れば、親身になって話を聞くのではないでしょうか。
これは、真の友人の姿と言えますよね。

「と」から「の」に変換して考えるだけで、こうも心の持ちようが変わってくるのですね。
「自分は自分、○○は○○」というとらえ方をしていると、つい自分と相対するものとの間に壁を作ってしまいます。
そうではなく、「自分の○○」という考え方をすれば、自分と一体のものとして考えることができて、自分自身が優しい気持ちになれます。
これこそ、人として幸せなことですよね。

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